隠居のうんちく



 
                         黄金あれこれ (その三 黄金という「物」)

                               

 いったい、黄金というものは、この地球上にどのくらい存在するのでしょうか。
 人類が黄金との係わり合いを初めて持ったのは紀元前四〇〇〇年ころのことだろうと言われています。
 それ以来、今までに人間によって掘り出された黄金は、世界全体ひっくるめて、約九万トン程度とのことです。
 その九万トンのうちの九四%は、最近の一五〇年間に掘り出されたものです。つまり、四〇〇〇年前から一五〇年前までの間に掘り出されたのは、たったの六%だということですね。
 地球上でまだ発掘されていない黄金の埋蔵量は、約四万トンと推定されています。
 金の値段も変動しますが、今、日本円ではだいたい一gが一六〇〇円くらいのようです。
 日本国内で保有されている黄金の量は、現在一五〇〇トンほどだそうです。 念のため申し添えますと、そのうちの、〇・一グラムさえもわが家にはありません。
 黄金の純度の表わしかたは、一〇〇%の純金を二四金とします。
 たとえば一八金というのは、全体の二四分の一八が金、ということだそうです。つまり四分の三が金です。
 どうして地球上にはそんなに黄金が少ないのか、というと、そもそも天体というものが最初に出来た時には、恒星にも惑星にも黄金のような重い物質はまったく存在しないのだそうです。
 天体はそのうち恒星が燃え尽きて爆発し、惑星もろとも宇宙に四散します。やがてそのかけらが集まって再び天体になっていきます。すると、その第二の天体には、黄金のような重い物質が、ほんの僅か、含まれています。つまり恒星が燃え尽きて爆発した時、それらの物質が形成されるのです。そのような爆発と再凝集とが宇宙で何度か繰り返されるうちに、黄金は少しずつ増えていきます。
 地球に、僅かなりと、黄金が存在するということは、今の地球はこの宇宙に最初に生まれたままではない、ということを証明しています。
 最初の太陽は寿命が尽きて爆発し、やがてそれが集まって再び太陽になり、また爆発し、それが何度か繰り返された後で出来た、何代目かの太陽と地球が、今の太陽と地球なのだ、ということを、地球上に存在する黄金は証明している、ということです。

                               

 
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