縄文時代には、雑草というものは無かったのだそうです。
雑草は弥生時代に農耕が始まってから、初めて生まれたのです。
縄文時代には雑草が生えていなかった、という意味ではありません。雑草という概念がなかったのです。畑や作物があるから、雑草もあるのです。畑や作物のなかった縄文時代には、すべては草であって、逆に言えばすべて役に立てるべきものであり、みだりに引っこ抜くべきものではなかったのです。
縄文時代には、大抵の草は、毒草以外は食用になりました。薄や葦はどうやって食べたのか、と心配なさる必要はありません。食用以外にも屋根とか壁とか、いくらでも役にたちました。
農耕が始まると、作物以外の草は、雑草となってしまいました。
ただ、一気に雑草になったわけでもないようです。
古代には「野菜」とは山菜のことでした。そして、庶民の食べる植物はおおむね山菜だけでした。
今で言う野菜、つまり栽培された食用植物は「園菜」と呼ばれ、上流階級だけの食べ物でした。
上流階級は「園菜」、庶民は「野菜(つまり山菜)」を食べていたのですね。
つまり、古代には、上流階級は弥生式(農耕)食生活をし、庶民階級は縄文式(採集)食生活をしていたわけですね。
そういえば、古代の住居も、高床式の住居は上流階級、庶民階級は掘っ立て式の竪穴式住居だったようで、よろず、弥生式と縄文式と、二つの文化が重層的に同時に存在していたようです。
その「園菜」つまり今の野菜が、次第に庶民の口に入るようになったのは、中世になってからです。
ところで、今野菜として我々の口に入っているものの多くは、外来の野菜です。
では、日本原産の野菜はどんなものでしょうか。
それは、ウド、フキ、ミツバ、セリだそうです。
今の私たちは、とうていこれだけではやっていけませんよね。
古代も、むしろ、庶民の食べた野菜、つまり山菜のほうが彩りが豊かだったでしょう。(上流階級も、おそらく山菜プラス園菜でやっていたのでしょう。)
現在私たちの食べている野菜は多彩ですが、その大きな部分を輸入野菜が占めています。
では、どんな輸入野菜が一番多いでしょうか?
輸入野菜のビッグ四は、ジャガイモ、タマネギ、レタス、ブロッコリーだそうです。
輸入、国産をひっくるめて、日本で最も消費されている野菜は、なんでしょう?
それについては、まだ隠居の調査は行き届いておりませんが、少なくとも、最大の生産量を誇るのは「大根」だ、という記事は見つけました。
「大根」は、原産地は地中海沿岸地方だそうですが、奈良時代には既にわが国で栽培されていた、ということです。そんな昔に既にシルクロード経由ではるばる日本にやって来ていたのですね。
それに比べれば、「白菜」や「キャベツ」は、日本に初めて紹介されたのは明治時代の初めで、まったくキャリアは比べ物になりません。
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