連句「寒明けや」の巻 横丁のご隠居宮原昭夫公式サイト
連 句







やあやあやあ、お久しぶり。声を掛け合い、傘をすぼめて続々と入場。
ここは、横浜元町商店街のとあるビルの7階。
ワンルームマンションであります。
完全禁煙、煙草はベランダでというところなのであります。
そのベランダには、大きなコーヒーの空き缶がドンと置いてあり、サンダルを履いて煙草を吸うと、眼下には色とりどりの傘が行き交うのであります。喫煙者は3名。ベランダへ出たり入ったりを繰り返して、落ち着きがないったらありゃしない。
あとの方々は、室内にて、美しい空気を吸いながらの作句です。飲食です。悶絶です。

飲食、作句、悶絶はいつもの風景なのですが、場所が変わったので、なんだか、貸し会議室にはない落ち着きと、華やぎがあります。さらに、時間の制限はなく、心おきなく使用できるのです。もう、矢でも鉄砲でも持ってこいと、鼻息は荒いのであります。

今回の連句会は、捌きを屁散人さんに、執筆を西北さんにお願いして、連衆は総勢8名。5月27日の土曜日、午後2時から始まったのでした。

連衆のご紹介

屁散人さんは、徘徊日誌「雲のあしあと」という本を出されています。俳誌「季」の編集も。捌きの場数も踏んで、あと五分とかいう声などは生き生きとして、書き込まれた短冊をくっくっくっと受け取る仕草も堂々としているのでありました。

西北さんことご隠居は、書物をあさり、日々精進を重ね、今回は「ご隠居ルール」にもますます磨きがかかって冴えているのであります。執筆という仕事は、意地悪な仕事です。だから、今回も当然のごとく、あらを探し、禁則の手をゆるめず、連衆に大きなため息をつかせて、ほくほくとしているのでありました。

風子さんは「ご隠居ルール」の宿題第三句を、一瞬にしてばしっと決めて、今回も早々に悶絶から抜けだし、うらやましがらせたのでした。うまさが違う、誰と・・・って、もちろん松子こと、これを書いているすりきれとであります。

八王子さんは、連句には初挑戦。なのに、なんだか事前学習がすごい。さらに、学習意欲が、陽炎のように全身から立ちのぼっているのです。めらめらと音を立てて燃え、さらに瞳は星のように輝いているのでありました。

凡凡さんは、愉しそうに作句。溢れ出る綺羅星のような言葉と、おちゃめなでユーモアのある飛躍に脱帽するばかりであります。それが出来る底力を折々に感じ、まことに恐縮したのでありました。

鹿彦さんとは、二度目の連句になります。寡黙で実直、でも人一倍ロマンティストな鹿彦さんは背をかがめて机に向かいながらも、ふと遠くを見つめたり、時折窓の外の雨音を聞いたりして、静かに作句をなさっていたのであります。

犬客さんは、土曜日もお仕事が出来て途中からの参加。来る早々に、連衆口をそろえて、早く出せと叱咤激励。それも軽く受け流して、まずは飲食を。飲食が止まったかと思う否や、短冊にはもう書き込まれているのでありました。

そして、松子ことすりきれ。記録係にとどまりたいと望むものの、前夜の短冊作りの最中に、突然、妄想ひとり連句を始めてしまい、夜明けのスキャットを歌う事態に。前夜のあまりの楽しさにすっかりすりきれて、当日本番のさえないことったらありゃしない、のでありました。まあ、実力でもあるんだけれどね。


全体のあらまし

午後2時に始まり、一句につき、作句は5分。捌くのに5分で、合計10分という無謀な計画を立てた屁散人さん。歌仙は36句なので、この計算で行くと360分必要で、時間に直すと、6時間。午後9時には巻き上がるはずでした。
しかし、午後5時を過ぎた辺りから、どうも緊張と疲れがピークに達してきたらしく、作れども作れども、お眼鏡にかなわず。では、半歌仙にしましょうということになって、やっと挙げ句にこぎ着けました。
そのおかげで、今までには充分に楽しめなかった「巻き上がったものをみんなでわあわあ言う」という時間を持つことが出来ました。当然のごとく、自画自賛の半歌仙でありました。


報告すりきれ

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